天皇賞・春・GT(1999年5月2日・京都・芝3200m・良);1番人気(2.3倍)1着

着順 枠番 馬番 馬名 性齢 斤量 騎手 タイム 着差 上がり 人気 厩舎
スペシャルウィーク 牡5 58 武 豊 3.15.3 34.2 白井
10 メジロブライト 牡6 58 河内 3.15.4 1/2 34.0 浅見
セイウンスカイ 牡5 58 横山典 3.15.8 2+1/2 34.8 保田
11 シルクジャスティス 牡6 58 藤田 3.15.8 ハナ 34.3 大久保正
ステイゴールド 牡6 58 熊沢 3.16.2 2+1/2 34.8 池江
ローゼンカバリー 牡7 58 菊沢隆 3.16.6 2+1/2 34.9 鈴木康
マチカネフクキタル 牡6 58 佐藤哲 3.16.8 1 35.1 二分
メジロランバート 牡5 58 吉田 3.17.0 1 34.8 谷原
アポテオーズ 牡6 58 四位 3.17.2 1+1/4 35.4 11 伊藤雄
10 サンデーセイラ 牡5 58 菅谷 3.17.9 4 36.9 12 菅谷
11 12 ユーセイトップラン 牡7 58 3.18.1 1+1/4 36.3 10 音無
12 タマモイナズマ 牡6 58 小原 3.18.1 ハナ 36.8 伊原
単勝 3 230円
複勝 3 100円
10 110円
8 110円
枠連 3-7 410円
馬連 3-10 430円

 

←阪神大賞典 ↑全レース成績 宝塚記念→

HOME


スペシャルウィーク、セイウンスカイ、メジロブライトの3強対決。逃げるセイウンスカイ、追い込むメジロブライトと
まさに前門の虎、後門の狼の中、スペシャルウィークの位置取りが注目された。菊花賞では楽々逃げ切られた
セイウンスカイをスペシャルウィークは早めに動き、直線入り口では早くも先頭。待ってましたとばかりに
メジロブライトが追い込んでくるも半馬身差は詰まらずそのまま先頭でゴール。
「あのまま京都駅まで走っても差はつまらなかったでしょう」by故大川氏
また、レース当日はスペシャルウィークの誕生日でもあった。
「ゴールデンウィークの真っ只中、5月2日はまさに'スペシャルウィーク'」by杉本アナ

観戦記はこちら


●週刊Gallop レース速報より
 これがダービー馬だ 誕生日を自ら祝ったスペシャルウィーク
 〜古馬でも日本一!年内は”帝国”構築…来年凱旋門賞へはばたけ
 「3強対決は堅い」の格言どおりに収まった。強い馬が強い競馬をする。これこそがファンへの信頼を高め、
競馬をスポーツとして昇華させる最高の手段である。売り上げ減の歯止めがきかないだけに、前年比
105.7%の売り上げ増と併せてこの結果を一番喜んでいるのは、もしかしてJRAかもしれない。それにしても
スペシャルウィークは強かった。
好位から正攻法の競馬で“前門の虎“セイウンスカイを早めに捕らえ、
“後門の狼“メジロプライトには絶対に抜かせない。武豊は一昨年、マーペラスサンデーで臨んだ3強対決で
徹底的にマークしたサクラロ−レルに差し返されて、さらに外からマヤノトップガンに一気にかわされ屈辱の
3着に敗れた。しかし今回は同じような展開で、きっちリスペシャルウィークを内国産古馬長距離界の頂点に
導いた。馬も強かったが、春の盾に日本一のジョッキーの意地も見た。先週号のGallopで武豊は「3強では
なく、ぼくはスペシャルウィークに乗るんです」と答えていた。今週のレースは、その言葉どおり愛馬の力を
信じてつかんだ勝利だった。天才騎手の天皇賞勝利はこれで7回目(春5回、秋2回)で、春は平成4年以来。
“平成の盾男”の面目躍如だ。スペシャルウィークのこれからの目標はなんだろう。レース後に白井寿昭
調教師は、年内は国内で戦うことを明言したが、武豊は常々「この馬で凱旋門賞に行きたい」と語っている。
まずは同世代のグランプリホースとの直接対決を待つが、来年には必ずやジャパンCの勝ち馬よりも強い
ことを、そして○外ではなく日本産馬の実力を世界最高峰の舞台で見せつけてほしい

●週刊Gallop ドキュメントより
 春の盾5勝目
 ”統一王者”の誕生に異論を挟むものは誰もいないだろう。現役最強馬の座を賭けた3強の激突。
クライマックスは意外とあっさりとしたものになった。勝ちにいく競馬に出たスペシャルウィークが、力でライバル
たちを圧倒。自らセイウンスカイを潰しに行き、返す刀で満を持して追い込んできたメジロブライトを
封じ込めた。
着差は1/2馬身に過ぎなかったが、前門の虎、後門の狼を退けた”王者の競馬”は、11万余の
観衆のハートに強烈なインパクトを与えた。
 「押し切れましたね。結果的に仕掛けが早くなって、決して上手な騎乗とは言えませんが、いい答えが
出ました。ホントに馬が強くなっている」
 お立ち台に上がった武豊は、まずは安堵の表情を見せた。史上最多となる春の盾5勝目。平成元年の
イナリワンからスーパークリーク、メジロマックイーンの連覇という歴史を刻んだ男が、7年ぶりの美酒を謙虚な
言葉で切り出した。
 セイウンスカイがハナを切るという予想どおりの序盤戦。直後にタマモイナズマ、サンデーセイラの伏兵が
つけて、スペシャルウィ−クは4番手の位置取りとなる。1周目の坂の下りでは、やや掛かり気味。菊花賞と
同様で武豊は「京都になると馬がカーッとする。特にきょうはボクより馬の方が燃えている」となだめるのに
必死。長手綱で馬に語りかけるようにして、懸命の仕草を見せたが、幸い折り合いもつき、向こう正面に
入ると、理想的なリズムで進んだ。その瞬間、ユタカの脳裏にVのシナリオが浮かびはじめた。
 「セイウンとの間にいる2頭をどうさばくか。あとは馬任せにして…」
 4コーナー過ぎまではサンデーセイラの後ろで3番手という位置取り。「駆け引きじゃないけれど…」
とユタカ。サンデーセイラの管谷にとっては「2コーナーからピタリとつかれた。形の上では、オレが競りに
行ったようになっちゃったよ」とお手上げ。まさにワザありで、俗に言う”2段駆け”のようになり、ロスも少なく
ヤマ場を乗り切った。その後、直線を向いて先頭に立ち、ゴール目指してひた走った。
 「抜け出しが早い気もしたが、ユタカの判断だから大丈夫だと思ったよ。最後はこの馬の持ち味である
切れと根性を十分に発揮してくれた。現役最強? そうやね、胸前をはじめ、つくところに筋肉はついて
きたし、本格化している。まだ上積みもありそうだしね」
 ルドルフ以来
 戦国時代にピリオドを打ち白井寿昭調教師は会心の笑顔を見せた。昨年は惜敗のケースもあったが、
今年に入ってからは充実の一途。AJCC、阪神大賞典に次いで3連勝でGTを制したことで喜びもひとしおだ。
日本ダービー馬の天皇賞制覇は昭和60年春のシソポリルドルフ以来、14年ぶり10頭目の快挙。
「頂点レース」2クラを制した馬が久々とあって、今後にかかる期待も大きい。
 「とりあえず今年は国内のレースを全部勝つ気でいきたい」。宝塚記念、天皇賞、ジャパンカップ、
有馬記念と続く「王道」にトレーナーは意欲を見せる。もちろん、日本一の座を確固にした場合は海外遠征
のプランも自然と出てくるに違いない。初夏の兆しさえうかがえる促の舞台に久々に大きな拍手がこだました。
 喜びの日高大洋牧場 再建へ「勇気の灯」
 昨年12月15日、火災により19頭の繁殖牝馬を失う悲劇に見舞われた北海道門別の日高大洋牧場。
生産馬スペシャルウィークのこの日のGT勝ちは、まだ焼け跡が残る牧場の再建へ、勇気の火を灯す1勝と
なった。
「向こうも大騒ぎでしょう」。単身で京都競馬場へ応援に駆けつけた小野田宏ゼネラルマネージャー(42)
は、声を詰まらせながら振り返った。
 火災に遇った繁殖馬房1棟で唯一生き残った繁殖牝馬、メジロウェイデンが5月20日にクリスタルグリッターズ
産駒を出産予定。「今年の秋から厩舎の新築工事を始める予定です。この勝利で、再建に希望を持って
やって行けます」。再び強い馬を送り出すべく一丸となっている牧場に、スペシャルウィークは確かなエールを
送った。

●週刊Gallop 柴田政人の天皇賞観戦記より
 自信満々の武豊”特別ショー”
 2冠馬よりも成長力でまさり、昨年の覇者を寄せつけない末脚
 今年の春の天皇賞は「3強対決」の前評判どおり、実力、人気とも他を引き離した3頭で1、2、3着を独占した
ことは喜ばしい。頂点を極める大一番では強い馬が力どおりの競馬をすることが理想だけに、今回の結果は
一競馬人として本当に嬉しい限りだ。
 セイウンスカイが逃げ、スペシャルウィークがそれをマーク、その後ろでメジロブライトが2頭を見ながら競馬を
進める、という展開は予想どおりだった。そうした流れのなかで、武豊はスペシャルウィークを自信満々の
騎乗で操っていた
、といっていい。抜群のスタートを切ったダービー馬を、武豊は終始外の3番手という
絶好位で競馬をさせた。これは前を行く2冠馬に楽な競馬をさせない、という意味の表れと見てもいいだろう。
事実、4コーナーでは絶好の手応えも手伝って、武豊は早めにスパートをかけてセイウンスカイを捕えに
かかった。
 やや早めのGOサインだっただけに、2頭の動きをじっと後方でうかがい、直線入り口ではすでにスペシャル
ウィークの直後に取り付いていたメジロブライトが勝つ形であると思ったが、そうではなかった。先行しながら
3000mの長丁場で34秒2の驚異的な末脚
を使われては、昨春の天皇賞馬といえどもかわせない。平成2年、
ぼくがイナリワンで臨んだ天皇賞もそうだった。今回のメジロブライトのように直線で捕えにかかったが、
どこまで行っても武豊のスーパークリークをかわすことはできなかったし、できるように思えなかった。前走の
阪神大賞典は道悪で、今回は史上2番目に速い勝ちタイムでの決着だった。良馬場で同じようにメジロブライト
に抜かせなかったのだから、スペシャルウィークのほうが1枚上ということだろう。
 3着に敗れたセイウンスカイは前走に比ベパドックから気負って見えた。スタート直後もサンデーセイラと
タマモイナズマの先行争いに巻き込まれ、1周目のゴール過ぎまで気負って走ってしまったことも、最後の詰め
の甘さにつながったようだ。そこが最初の直線ですでに自分のペースを作っていた昨年の菊花賞とは違った。
スペシャルウィークは逆に菊花賞のほうが気負っていたように見えた。自在の競馬ができるようになった
ダービー馬を見ると、2冠馬よりも成長度でまさっていたと言えるだろう。どんな競馬にでも対応できる
スペシャルウィークの前途はますます洋々といえる

inserted by FC2 system