日本ダービー・GT(1999年6月6日・東京・芝2400m・良);2番人気(3.9倍)1着
着順 枠番 馬番 馬名 性齢 斤量 騎手 タイム 着差 上がり 人気 厩舎 1 1 2 アドマイヤベガ 牡4 57 武 豊 2.25.3 − 34.4 2 橋田 2 6 11 ナリタトップロード 牡4 57 渡辺 2.25.4 クビ 35.0 1 沖 3 7 14 テイエムオペラオー 牡4 57 和田 2.25.6 1+1/4 35.3 3 岩元 4 5 9 オースミブライト 牡4 57 蛯名 2.26.0 2+1/2 35.3 4 中尾正 5 1 1 ブラックタキシード 牡4 57 的場 2.26.3 1+3/4 36.1 6 尾形 6 5 10 ロサード 牡4 57 高橋亮 2.26.4 3/4 35.0 15 橋口 7 4 7 ペインテドブラック 牡4 57 加藤 2.26.4 ハナ 36.2 5 鈴木康 8 7 15 マイネルシアター 牡4 57 横山典 2.26.7 1+3/4 36.1 8 柴崎 9 4 8 ワンダーファング 牡4 57 幸 2.26.8 1/2 37.2 13 領家 10 3 5 ヤマニンアクロ 牡4 57 勝浦 2.27.0 1+1/4 37.1 12 萩原 11 2 3 ニシノセイリュウ 牡4 57 河内 2.27.2 1+1/2 36.1 9 松田正 12 8 17 マルブツオペラ 牡4 57 武 幸 2.27.3 3/4 36.8 14 瀬戸口 13 6 12 チョウカイリョウガ 牡4 57 柴田善 2.27.5 1+1/2 37.0 7 中野隆 14 3 6 ブルーコマンダー 牡4 57 吉田 2.27.8 1+3/4 37.3 10 伊藤修 15 8 18 マルシゲファイター 牡4 57 菅谷 2.27.9 3/4 36.0 18 武田 16 2 4 マイネルタンゴ 牡4 57 岡部 2.28.3 2+1/2 38.5 11 大江原 17 7 13 タイクラッシャー 牡4 57 松永幹 2.28.3 クビ 38.1 16 五十嵐 18 8 16 ノーザンカピタン 牡4 57 後藤 2.30.5 大差 39.1 17 中村均
単勝 | 2 | 390円 |
複勝 | 2 | 140円 |
11 | 130円 | |
14 | 140円 | |
枠連 | 1-6 | 610円 |
馬連 | 2-11 | 820円 |
皐月賞で惨敗したアドマイヤベガは僅差ながら初めて1番人気をナリタトップロードに譲り、皐月賞馬テイエム
オペラオーは3番人気だった。アドマイヤベガの馬体重は+10`と復調気配。とは言え、この短期間で本当に
体調は回復しているのか?半信半疑でゲートは開いた。レースは皐月賞で無念の除外を喫したワンダー
ファングが緩みないペースで引っ張り、テイエムオペラオー、ナリタトップロードはほぼ同じ位置の中団。
アドマイヤベガは更に後ろの後方3番手でレースを進める。4コーナー手前で和田・テイエムオペラオーが
動き出し、それをマークするかのように渡辺・ナリタトップロードも動き出すが、武豊・アドマイヤベガはまだ
動かない。直線に入りテイエムオペラオーが抜け出し、その外からナリタトップロードが襲いかかる。そして、
更に外からワンテンポ仕掛けを遅らせたアドマイヤベガが襲いかかる。3頭による凄まじい追い比べは
アドマイヤベガのクビが僅かにナリタトップロードを捕らえたところがゴールだった。
「母べガの2冠達成から6年、またもその息子が輝く一等星に☆アドマイヤベガ。」
「豊が信じたその末脚、豊が信じたその強さ、やはりこの大一番、アドマイヤベガ。」by三宅アナ
そして武豊騎手は史上初となるダービー連覇を達成した。
●週刊Gallop レース速報より
歴史を変えた武豊東京優駿連覇 アドマイヤVega輝く
〜桜花賞、オークス馬の息子がダービー馬
96年生まれの日本産サラブレッド8845頭の頂点に立ったのはアドマイヤベガだった。皐月賞では断然の
1番人気に支持されながら6着に敗れた超良血馬が、最高の舞台で見事にリベンジを果たした。2冠牝馬ベガ
の初子として生まれたサンデーサイレンス産駒の牡馬。産声をあげたときから、ダービー制覇の夢を宿命として
背負ってきた存在といえる。血の力、そして血のロマンを改めて実感させられた一戦だった。鞍上は母の
主戦だった武豊。やっぱり競馬はロマンである。最年少ダービー騎手誕生(和田竜二)とダービー初騎乗
初制覇(渡辺薫彦)を阻止した30歳のリーディングジョッキーは、スペシャルウィークに続く史上初のダービー
連覇を達成。そのレースぶりは沈着冷静。まさに天才のなせる技と絶賛したい。レース後、ダービー連勝騎手は
「これで並びましたね」と小島太調教師に言ったとか。騎手時代、サクラショウリとサクラチヨノオーで東京優駿を
制した調教師は苦笑いするしかなかっただろう。勝ちタイム2分25秒3(良)はダービータイレコード。
2着ナリタトップロード、3着皐月賞馬テイエムオペラオー。卯年には2冠馬が誕生する、というジンクスがある。
菊花賞。さて、強い2冠馬はどちら?
●週刊Gallop ドキュメントより
レコードタイ
デビューから13年、記録という記録を塗り替え続けてきた天才が、”開かずの扉”をついにこじあけた。レース
創設から昨年までの65年間、誰も成し得なかった「ダービー連覇」。武豊は、アドマイヤベガを第66代ダービー
馬に導くとともに、日本の競馬史に燦然と輝き続けるであろう偉業を成し遂げた。
よもやの6着に散った皐月賞から49日。アドマイヤベガは前走時マイナス12`と大幅に減った馬体重の回復に
重点を置いて調整されてきた。スタッフの懸命な努力が実り、この日はプラス10`の454`まで戻っていた。
「先生からいい状態だと聞いていました。ビシビシ鍛えて臨んだわけではないからその辺が心配でしたが、
いい感じでゲートインできましたね」。鞍上は確かな手応えを得たまま、後ろから4〜5番手の内々を進む。
前方のナリタトップロード、その前のテイエムオペラオーとの間合いを徐々に詰めながら、4コーナーで外に
持ち出しスパート。「珍しくいい騎乗ができた。ドンピシャでした」と自画自賛する絶妙の追い出しから、
テイエムを直線半ばで競り落としたナリタに襲いかかり、ゴール前30bでかわしてゴールイン。
「苦しいレースでした。去年は余裕があったけど、今年は最後まで分からなかった。まだ興奮していますよ」。
スペシャルウィークを駆って10度目の挑戦でダービージョッキーの仲間入りを果たした昨年とはまた違った
感動が、ユタカにも込み上げている様子だ。勝ちタイム2分25秒3は、平成2年にアイネスフウジンがマークした
ダービーレコードと並ぶ好時計。「勝ったから言うわけではないけど、各馬不利もなく力が出し切れたと思うし、
いいレースだったと思います」。レースそのものも、歴史に残る大熱戦だったことを証言する。
自らの手綱で桜花賞、オークスを勝った名牝の子供でダービーを制したこともまた快挙。「本当にいい
親子ですね。お母さんはオークスを勝たせてくれるし、子供はダービーを勝たせてくれた。本当に夢のような話
ですね」。天才ジョッキーも、感動を新たにしていた。
末脚信じた
橋田満調教師は、悲願のクラシック初制覇。「調子がよすぎるとカリカリする馬だから、イレ込みすぎない
ように注意しました。わたしとしては自分の子供を褒めるようで何ですが、未脚はこの馬が一番だと思って
いましたから。ゴール前は力が入りました」。昨秋の天皇賞でサイレンススズカを失った因縁の東京競馬場。
半年が過ぎ、悲しみの場がようやく歓喜の舞台となった。だからダービートレーナーの栄誉を手中にした後、
落ち着いた口調で「みんな一生懸命やってくれました」と改めてスタッフの労をねぎらった。
生まれたときから府中の2400mで勝つことを宿命として背負ってきたアドマイヤベガは、そのとおりに
自らの力でダービーを勝ち取った。これからはチャンピオンホースとしての新たな戦いが待ち受ける。この後は
8日に生まれ故郷の北海道早来のノーザンファームヘ放牧に出され、菊花賞に備える予定。「まだまだキャリアが
浅いし、これからの馬」と武豊が言えば、橋田調教師も「これまでもわたしの考えたような成長をしてきてくれた
けど、秋、5歳ともっと充実してほしい。まだまだ完成していないし、夏に成長してほしいですね」。
6月6日、ひとつの歴史を築いた武豊とアドマイヤベガ。秋にはさらにスケールアップした姿で3冠目の戦いを
魅(見)せてくれるはずだ。
「嬉しい限り」 ノーザンファーム吉田勝己代表
2冠牝馬ベガの初子が成し遂げた快挙に、母子2代の生産者・ノーザンファームの吉田勝己代表(50)は、
力強く切り出した。
「本来の体調であれば、抜けている馬だと信じていました。皐月賞の上位馬を負かすことができたし、
本当に強かった。生産者としてはベガの子でダービーが取れるなんて嬉しい限り。ミスターシービーをはじめ、
やはり初子は走りますね。今回のレースで、改めて日本の競馬、種牡馬が強くなっているのを実感しました」。
先日はノーザンファームの生産馬シーヴァが欧州GTを制したばかり。世界戦略を意識させるサンデーサイレンス
の威力と併せ、ひそかにダービー馬の飛躍を誓っているようだった。ちなみにベガは5月にティンバーカントリー
産駒の牡馬を出産している。